お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





とくにキャッチャーはチーム全体の司令塔でもあると、今朝のスポーツ番組でニュースキャスターさんも言っていた。



「こいつ、うちのだから。返して」


「は?うちのって……ゆら、知り合い?」


「いやっ、こんなひと………、」



ん……?
どこかで聞いたことある声…じゃない?

それに背丈もそうだし、ふわっと香るペパーミントが私の匂いと同じ……じゃない?



「し、知り合い…かも」


「まじで?うそだろ?」


「いや、ナナ……、な、なんだろうっ、親戚に似てる気がする…!」



ナナちゃんだ、間違いない。

この距離でギリギリ、サングラスの奥に一瞬チラッと見えた。



「じゃ、そーいうことで」


「わっ…!」



ぐいっと力強く引っ張られる。

手に持っていたらしい大きめの傘を持たせられて、雨に濡れることなく外へ。



「あっ、雅っ!今日はありがとう!!また月曜日学校でね…!」


「そいつどう考えても不審者だけどっ、違うんだよなー!?」


「うん!ちがうから心配しないでっ!いろいろごめんね雅…!」