お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





ザアアアアアーーーと、結構な大降りで。


「通り雨でしょ」と、過ぎゆく人は話していたけれど、これが通り雨だろうがそうじゃなかろうが、雅には関係がない。

19時までには何としてでも学校に戻らなきゃなんだから。



「ウチは走れるから問題ないけど。ゆらが心配なんだよな」


「あっ、私も平気だよ?私も走って途中でビニール傘買うから」


「いや危ないだろ、それは」



こんなときにもイケメンを発揮してくれるとは、まったくどういうことなの。



「でも早くしないと大切なプリントが…」


「大切な友達と大切なプリントだったら、どう考えても前者を取るよ」


「……イケメンだね。拝んでいい?」


「好きにしな」



なんてことをしている暇はない。


今からお母さんに電話をしてお迎えを頼んで、雅を学校に送ってもらう…とか。

だって私とショッピングするために部活が終わってから急がせちゃっただろうし…。


うん、それしかなさそう。