お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





…一応は私たちも女の子なんだけどね?



「わっ」



そんな私の頭が、女子にしては高い位置からぽんぽんと優しく叩かれる。



「向こうに本屋があるってさ。行く?」


「…彼氏だよ、もうそれ」


「思った。今のは自分でもイケメンすぎじゃねって」


「あははっ、本屋さん行こう!」



なんでか分からないけど、私の友達が雅ですごく良かったって心から思った。


ありがとう雅。

きっと新しい学校ですぐに打ち解けられたのも、雅のおかげ。



「ゆらは門限とか決まってんの?」


「今日は一応夕飯いらないって言ってあるから、平気だよ」


「じゃあ食ってこ」


「うんっ」



それから気づけば時刻は18時前。

ショッピングモール内の5階はレストラン街となっているから、食べていくならそこの中のお店になりそう。



「げっ、ちょっと待って」


「雅…?どうかしたの…?」



レストラン街へと向かうエスカレーターにて、スマートフォンを確認した雅は焦ったように何かを探り始めた。