お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





いつか雅には話せるときがくるといいな…。

そのためにはまずはやっぱり、私がナナちゃんに心を開いてもらわなくちゃ。



「わっ!このワンピース、シースルーになってるんだ…、いいなあ~」



ショーウインドーに並んだマネキンに、思わず右と左の足並みが揃った。



「……なあ、やっぱ無理してるだろ?」


「へっ、あっ、そんなことないよ…?」


「無意識ってのが本物だとウチは思うけど」



無意識…。

うん、今、ここで足が止まってしまったのは無意識だった。

そして私が男の子になろうと決めたのは意識的だった。


だとしても、だとしてもだよ。



「ぜったい似合うって!」


「そ、そうかな…?でもわたし地味だから…」


「もっと自分に自信持ちなって!あんたは可愛いってばっ!可愛くして好きな人に会いに行くんでしょ?」


「う、うん…」



店頭に飾られていたシースルー型のワンピースを、店内にて手にしている女の子たちの楽しそうな声。

まるで今日の私と雅の女の子バージョンって感じだ。