お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





どうにも今日のナナちゃんはいつにも増してご機嫌斜めのようで。

言い合う私たちに柔らかい顔を向ける親ふたりは、なにを思っているのかな。


そして私はなぜか最後まで睨まれつづけて家を出た。



「……ねえ、雅」


「ん?」


「私ね、今すっごいイケメンな彼氏を持った女の子の気持ちを味わってる」



見て、見える?見えるよね…?


キョロキョロチラチラ、駅前のベンチに座った私たちを通りすぎるたびに女の子たちが見てくるの。


きゃあきゃあと顔を赤らめて、「あの彼氏めちゃくちゃイケメンじゃない?」なんてヒソヒソ言って。

そうだよね、まるでお弁当を一緒に食べてるカップルだもんね私たち。



「おー、よかったな」


「うん」


「てか、このサンドイッチうまっ」



雅はそんなことは日常茶飯事らしいので、とくに気にはしていない。


重そうなスポーツバッグにジャージ姿。

こうして部活終わりに時間を作ってくれる友達には感謝感謝だ。