そんなキャッキャと盛り上がる私たちとは反対に、ひとりの男の子はいつも以上にどこか静か。
「味が薄かったかしら?」と、お母さんは首を傾げながら問いかけた。
「…いや、美味しいです」
「そう?味に飽きたらメープルシロップかけて食べてね」
という、お母さんの声は聞こえていないっぽい。
それどころか余計に睨んできてない…?
……私のことを。
「今日天気わるいからやめれば」
「えっ、こんなに晴れてるよ?」
「午後から雨降る」
「うそー?曇ひとつないのに?」
「…これから出てくんだよ」
わあ…、ひっっく。
そんな怒らなくたっていいのに…。
「でも今日はどうしても外せないの。お姉ちゃんが友達に取られちゃったからって拗ねないで、ナナちゃん。ふふん」
「……ドブに落ちろバーカ」
「ちょっ…!今すごいこと言ったよ…!?」
「うるせえ半径10メートルは近づいてくんな」
「無理だからそんなのっ!」



