────と、いうわけなのです。
「なんていうか、いろいろツッコミどころ満載だけどさ。単純にすごいよな、ゆらって」
「えっ、どこが…?」
「ナナちゃんのためにそこまでするなんて。そんなにしてまでも大事にしたいってのが伝わるわ」
いいな、そーいうの───。
雅の言葉に、私は照れるとかよりも先に家族とはこういうものなんじゃないかって思った。
お姉ちゃんだから、とか。
年上だから、とか。
そうじゃなくて、“かぞく”だから。
胸にじんわり広がる嬉しさだけは、とくに隠す必要はないよね。
「わかった。んじゃあ今週の土曜日、部活が午前で終わるから予定あけといて」
「も、もしかして…」
「ウチのセンスに文句はナシだから」
「っ…!ありがとう雅…!」
イケメンで美人で優しい友達は、一緒にショッピングをしてくれるとの約束を取り付けてくれた。
せめて私が見た目だけでも男の子になれば、彼も家ではリラックスできるんじゃないかって。
どうしたって本当のお兄ちゃんになってあげることはできないから…。