「あの、やっぱりナナちゃんは心の底から女の子という存在が嫌いなんだよね…?」


「…そーだけど」



ナナちゃん呼びだけは譲らない私に、とうとう彼もそこに関しては諦めたらしい。



「もしっ、もしね?お姉ちゃんじゃなくて…お兄ちゃんだったら、どう…?」


「……はあーー」



そんな私の新たな提案に案の定、大きなため息という凄まじい反応をしてくれた。

“なんでそんなにアホなの?”と言っている顔もセットで。



「でもまあ、それは…楽しそうではある」


「えっ」


「…兄貴、欲しかったんだよ俺」



それだけ言って興味なさそうにスマートフォンをいじり出したナナちゃん。


こちらお姉ちゃんになりたかった城崎 ゆら。

心のなかで妥協アリのグッジョブサインを出して、作戦Bに移行の準備、開始。


それとこれとは別に、言われたとおりリビングに置いていたビニール袋の中身は。


翌日、またその次の日と確認するたびに、誰かさんの仕業によって少しずつ減っていた。



「───ふふっ、りょーかい!」



“次は冷凍パスタ”


そんな置き手紙に変わった、とある日のこと。