「あの、ちょっといいかな。勉強教えてもらいたいんだけど」



そして食後、誰もがくつろいでいる時間にて。

一番風呂は誰が入るのかな?なんて気になっていると、まさかの初呼び出しがかかった。



「七兎くん、逆じゃない?ゆらが七兎くんに教えてもらうほうよ?」


「いえ、俺は理数系が得意ってだけで特別あたまが良いわけじゃないんで」


「あ、それならちょうどいいかもね。ゆらは文系なのよ」


「そうなのかい?じゃあ補い合えそうだね」



お母さんとおじさん、ふたりの角度からは見えないだろうから微笑ましいかもだけどね?

距離を空けつつ私に身体を向ける男がどんな顔してるか知ってる…?


背筋凍るよ……?これヤバそうだよ…?
私、生きて帰れる…?



「とりあえず、2階に来てくれる?」


「……うん」



行ってきますお母さん。

生きて帰ってこられるかは、保証できません。



「そこで止まれ。それ以上は1ミリたりとも動くな」



そして階段を上ったところで乱暴たる命令が下される。

対するナナちゃんは自室に入って、椅子に腰かけた。