お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「敬礼」


「…え?」


「いーから敬礼」


「あっ、はい…!」



なんで敬礼…?

なにもかもが疑問だらけなのに、どうして私も言われたとおりにしちゃってるのという新たな疑問。


これはいったい、どういうこった……?


埋める…?
埋めるってどういうことだろう…。

私、そんなに嫌われちゃってるの…?

確かに吐いちゃうくらいだもんね、かなりだよねそれって。



《このように種を埋めてから、まるで我が子のようにじっくり焦らず育てることがオクラ作りのコツです》


《聞きましたか奥様方!これで家庭で簡単にオクラが作れちゃうんですって!》



と、テレビからは聞こえてくるけれど。

それとまったく同じ意味には聞こえないんだよなあ…。


するとソファーにどっかり座った男の子は、おもむろにリモコンを手にしてチャンネルを変えてゆく。


「初日なんだからちゃんとしなさい」と父親に言われ、仕方なくリビングに顔を出した七兎くん。

を見つめる私は、ソファーから遠く離れたキッチンにて様子を伺う。