「え、ナナちゃん、知り合い…？」


「知らない。他人」



っていう空気じゃないの、どう考えても。

だってあの子の感じだと、別れた恋人を追って自宅訪問してきた元彼女さんにしか見えないよ…？



『中学生の頃に付き合っていた人で、今はもう別れちゃったんですけど…』


『わたしが最低なことをしてしまったから…振られて当然なんですけどね。でも、ずっと謝りたくて』


『あんなにも大切にしてくれていたのに裏切ってしまったのは私ですから。なので…当然の報いなんです』


『じゃあ…近いうち、彼のお家を訪ねてみようかな…』



いや、あの、ガッツリお話を聞いてしまっておりました……。

皆さんごめんなさい。
彼女の背中を押してしまったのは私です。


そしてナナちゃんごめん。

自宅訪問を勧めてしまったのも私なんです。



「ごめんね、ごめんなさい十波くん…、あのときはああするしかなかったの…っ、わたしも自分のことに必死でっ、
わたしが十波くんとつりあってないってことは分かっていたから……っ」


「うるせえ。やっと高校で離れられたのに、なんで来るんだよ」


「だってわたしはまだ十波くんのことが───」


「どうでもいい。いいから帰れっつってんだろ。お前の顔見るだけで吐き気がするんだよ」


「っ…」