クラスメイトたちにも私だってことはバレない角度でカメラマンさんは撮ってくれた。
だからこれは私とナナちゃんの秘密の思い出。
夕暮れ空の下、肩を並べて足並みを揃えて家に帰る。
それは私たちが暮らすひとつ屋根の下、温かな一軒家が見えてきたときだった。
「……、」
「ナナちゃん…?」
息を飲むように隣の足音がピタリと止まってしまって。
「…なんで」と小さく落とされた声は、怒りと悲しみを含んでいた。
「───十波くん」
玄関の前、ひとりの女の子がいる。
どこかで見覚えのあるワンピースを着て、見覚えのあるおさげ髪をして、大人しそうに口を開く女の子が。
「人の家の前で…なにしてんの」
「ず、ずっと十波くんに謝りたくて…、あのときは…」
「今さら誰がそんなの信じるんだよ。迷惑、邪魔、帰れ」
「と、十波く───」
「来んな。お前は1キロ俺に近づくな」
その子はショッピングモールと七夕まつりで出会った子だ。
ずっと会いたい人がいるって、謝りたいって、七夕に願ってまで好きな人に伝えたい思いを抱えていた子。
え……?
もしかしてそれって、……え?
私……、
めちゃくちゃ応援しちゃってたよ…?



