もはやただのおでかけだった。
ただ私たちがオシャレな店内でパフェを食べているところを周りに構えたアシスタントさんがライトを当てて、たまにヘアメイクさんが整えに来て。
そして、カメラマンさんが何枚もシャッターを切るだけ。
「こんなところに道があるよナナちゃん!ふたり通れるかな?」
「行ってみる?」
「うん!…あ、ふたりでギリギリだね」
なにこれ…、思ってたよりすっごい楽しいかも…!
だって手を繋いじゃってるし、デートみたいだよ…?
皆さんは私たちが歩きたい場所についてきてくれる。
私とナナちゃんの掛け合いを聞いて微笑ましい笑い声も聞こえるし、撮影ってこんな感じなんだ…。
「ゆら、ちょっと止まって」
「え…?」
ゆらって、たまに呼んでくるところ。
本当は呼ばれるたびにドキッとする。
「ど、どうしたの…?」
路地裏の片隅。
もちろん通行人もいなく、撮影中だと分かれば周りも空気を読んでくれる。
そこで足を止めたナナちゃんは、どういうわけか向かい合った私に距離を詰めてきた。



