「ち、ちなみにお姉さんは顔出しのほうは…」
「いっ、嫌です…!ぜったい無理です、可愛くないんで…!それが全国の書店だなんて……むりですっ、むりっ」
「おい、やれよそこは。気合いでなんとかなるだろ」
「なるかっ…!そういう概念じゃないから…!ルーナちゃんの次にやらせるなんて拷問でしかないよ!?」
なにその罰ゲーム。
私に対する嫌がらせ?いじめ?
───と、そんなときだった。
「あの、すみません…」と声をかけてきたのは、まだ新人オーラが漂っていた若い女性スタッフさん。
「顔は見せない雰囲気ショットとか、逆に女の子目線から見られるので良いんじゃないかと…」
「となると、写すのは後ろ姿や斜めうしろの角度のみってことにならないか…?」
「はい、それでいいんです。イメージは乙女ゲームです。ヒーローを立てて、でもチラッと見えるヒロインは逆に地味なほうが共感を生みますから」
そうしたほうがリアリティーと想像や妄想が増すのだという。
きっと彼女は仕事が終わって帰宅したら、真っ先にゲーム機を手にしているんだろうと想像してしまった。



