「私、ずっとナナちゃんを見てるから。少しでも気分が悪くなっちゃったら、すぐ駆けつけるよ」
「……神谷さん、」
私をじっと見つめてから、ナナちゃんはマネージャー的立ち位置でもある編集部さんの名前を呼んだ。
「はっ、はい…!!」と、食いぎみな返事が響く。
「なら、相手を変えてくれませんか。あんな女となんか俺はやりたくないんで」
「相手…、代役だ、今から代役はっ、」
「これから駆け寄ってみます…!」
慌てた様子でスタッフさんたちがスマートフォンを取り出して、誰かに電話をかけ始める。
「いや、ちがいます。こいつと一緒なら、やります」
そこでまさかの、ずんずん迫ってきたかと思いきや、私の腕がくいっと引かれるなんて。
「……え?」
「俺をずっと見てるって言ったからな。それは今後も責任持てよ」
「えっ、え…、えっ、……どういう、こと…」
私が相手役をするの…?
今日だっていつもどおり地味な服装をして来た、このちんちくりんが…?
って、自分で言うと悲しくなってくるけど…!



