「こんなふざけた撮影、やめる。俺じゃない誰かを当ててください。…帰ります」
「ちょっ、ちょちょちょっ、ごめんね十波くん…!嫌な思いをさせしまったなら謝る…!」
ごめんなさい!と、神谷さんを始めとしたカメラマンさんやアシスタントさん、メイクさんたちが一斉に頭を下げてくる。
そのなかでもブロンド髪をなびかせるようにお高くとまった彼女だけは、つんとそっぽを向いていた。
「でもどうしてもっ、今回の新企画のスタートは十波くんに飾ってほしいんだ…!
お願いします、もう1度だけ僕たちにチャンスをいただけないでしょうか…?」
スタッフのなかでいちばん深く頭を下げているのは神谷さんだった。
そうだよね。
さっきのベストショットを見てしまったら、他なんかいない。
「ナナちゃん…、もうちょっとだけやってみない…?」
私がなんとか言うよ。
ルーナさんにもちゃんと説明して、なんとか分かってもらう。
それでもし機嫌を損ねちゃったら、他にいい案はないかと神谷さんに持ちかけてみる。



