「あのお姉さんに見せつけてあげようよ」
「…なにを?」
「ほら、あたし達との差ってやつ?あれじゃあ恋愛もしたことないんだろうなあ。この先もたぶん絶望的だから可哀想~」
「…可哀想?」
「だってあの服、ちょーウケるんだけど。ボーイッシュ目指してるのか知らないけど、方向性まちがってオタクみたいになってるし!
本当に十波くんのお姉さんなの?顔も似てないし、あんなのが身内ってめちゃくちゃ恥ずかしくない?」
あれ…?
ナナちゃんの様子が急におかしくなった。
今までもずっと息を止めるように我慢はしていたけど、それとはまた別の空気感。
だとしても遠くから見ている私には会話が聞こえてこない。
「もしかして十波くんってシスコンなの?撮影にわざわざ連れてくるって、ああちがうか、あの人が勝手について来たんでしょ?
ほんと困るよね~、地味な一般人のくせにああやって芸能人気取りされるのって」
楽しそうに笑っているルーナちゃんと、今まで以上に冷たい眼差しに変わったナナちゃん。



