「それはいくらなんでもコケにされすぎ!なんつって!」
「は?」
「えっ……」
とにかく、なんとかナナちゃんの雰囲気だけでも和らげることができたっぽい。
あと吐き気も一応は止めましたので…!
「と、ととと十波くん…?どうしちゃった…?誰かに愛嬌とか愛想を根こそぎ取られた…?ってくらいの顔してるんだけど…」
「…さっさと撮ってくれませんか」
「いや、そのためにはさっきみたいな表情をしてほしいなあ~、なんて……ひいっ!!」
ナナちゃん…!
カメラマンさんを睨むのだめっ!絶対!
確かにルーナちゃんはさっきから、すごいスキンシップ激しいけど…!
だとしても、今のふたりは彼氏と彼女なんだから。
仲良くデートしている姿を撮りたいんだから。
「ひゃっ、も~!胸に生クリーム落ちちゃったあ。十波くん取ってくれる?」
「………」
「ねえ、ちょっと踏み込んだことしてみんなを驚かせてみない?」
「…芸能界って、そーいうスキャンダルは作らないほうがいいんじゃないですか」
「ふふ。あたし十波くんならいいよ?」
それは、誰もが賭けに出るような気持ちで見守っていたとき。



