「なに突っ立ってんの」
「えっ、いやっ、だって私は一般人だから…」
「俺だってそうだけど」
「いやいや…!ナナちゃんはもう違うよ、…すごいもん」
さっそく女性スタッフから逃げるように、端で見学していた私のもとへ駆け寄ってくる。
カジュアルかつ個性的なファッションは普段のナナちゃんとはまた違ったクールさを引き立たせていて。
普段はそこまでいじられていない無造作な髪の毛も、今日はしっかりとヘアワックスでセットされているセンターパート。
「なんか…いっきに遠い存在になっちゃったみたい」
「…それはそれでいいんじゃない」
「え…?」
「近すぎるのもよくないって言ったし俺」
なんだろう、ちょっとだけ寂しい感じ。
雅と私の関係に対して言っていたと思っていたけど、実は私とナナちゃんの距離感に対しても彼は指していたらしい。
「で、でも…私たちはこれからもずっと家族には変わりないから」
そんな私の返事がダメだったのかもしれない。
「あっそ」と冷たく言い放った彼は、撮影場所へと背中を向けて行った。



