落とす?弱味?
そんなテクニック持ってないよ小山田さんは。
だからこそ接していて疲れないし、あのとき声をかけられて良かったと───
『りっ、利用したんだよ…!』
放課後の教室前、たまたま忘れ物を取りに戻った俺は、隣クラスの前でピタリと止まった。
聞き慣れた声が放ったとはどうしても思えず、しばらくのあいだ理解することを忘れたみたいに。
嘘をつかれては裏切られる気持ちを馬鹿みたいに忘れていたこと。
そんなものをまた思い出させてくれたのは、唯一信じることができそうだった彼女だった。
『わ、わたしは十波くんのことなんか、好きじゃないよ…?でも十波くんと付き合えば目立てるから…、いろんな子に声をかけてもらえて自慢もできるしっ、
ただそれだけで付き合ってるだけなの…!』
俺は女には恵まれない、ツイてない。
信じた俺が馬鹿だった。
母さんも、こいつも、みんなみんな。
『きゃははっ、あんたって大人しい顔して実は魔性の女なのね~!』
『こっわーっ!佳純、明日からあたしたちと一緒に行動しよっ?』
『う、うん…』



