お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。

七兎side




『お母さん、もう大丈夫なの…?』


『うんっ!七兎が毎日お見舞いに来てくれて、鶴もこんなにたくさん折ってくれたおかげだね』



俺が小学3年生の頃から、母親は過労で倒れて入院していた。

いつも笑顔を絶やさない人だったから、お見舞いに行くたびに『元気!』と笑いかけてくれて。


授業参観だって運動会だって、別に居なくても平気だった。


母さんが無事に生きてさえいてくれれば、それで。



『じゃあもう病院には戻らない…?ずっとここにいる…?』


『…もちろん。お母さんはずっと、あなたのそばにいるよ』


『おれ、いっぱいお手伝いする。お父さんとふたりのときも洗い物とか洗濯とか、おれがやってた』


『お、偉いぞ七兎!さすがお母さんの自慢の息子だね~』



それなのにどうして顔色は良くなっていないんだろう。

どうしてそんなに痩せ細っているんだろう。


入院しているときから、母さんの髪は地毛ではなかったこと。


俺はずっと、ずっと、気づいていた。