お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「つぎっ、丸井先輩が打席だって…!!」


「丸井先輩って必ずヒット打つよねー!さっすが4番っ!」


「だーかーらっっ!!相手校を応援してどーすんの!!」


「「すっ、すみません…!!」」



ごめん雅。

なんか身体が勝手にね、荷物を手にして立ち上がっちゃってるの。

そう、そうなの無意識で。


────カキーーーンッ!!!



「きゃーーっ!!ツーランホームラン!!」


「やっぱり丸井先輩が逆転しちゃった!!」


「こらっ!!いいかげん自分の先輩を応援しろってば1年…!!」


「「あっ、すみません…!!」」



高く高く飛んでゆくボールがどこに落ちるか見届ける前にも、私は応援席を飛び出して走る。



《ほんっとうにごめん…!!こちら緊急事態なので帰ります…!
ホームラン格好よかったよ…!埋め合わせはぜったいするから……!!》



こんなメッセージを送らなくても、彼女は私のことを嫌いにはならないだろうという確信があって。

どーせナナちゃんだろ?なんて、後日に笑って言ってくれるような気がした。