それにしてもやっぱり雅は他校の後輩ちゃんたちにも不動の人気を誇っているらしい。
「ん…?えっ、ナナちゃん…?」
それは順調に試合が進んで、4回裏に回ったときだった。
ピリリリリーーーと着信音を鳴らしながら震えたスマートフォン。
「もしもしナナちゃん…?どうかしたの?」
『いま…どこにいんの、』
「へ…?どこって、雅の試合だよ…?」
『…なんでそんなの行ってんだよ、』
なんでって…。
数日前から伝えてあったし、そのときもつまらなそうな顔をしつつ「うるさいのがいなくて精々する」なんて言っていたのに。
『…いつ、帰ってくんの』
「えっ、まだ4回裏だから…、たぶん14時くらいになると思う」
『……あそ、』
「え、ちょっとナナちゃ───、あ…、切れちゃった」
なんかすごく弱々しかったというか、声が細かったような。
今日はお母さんもおじさんも仕事だから、ナナちゃんひとりのお留守番。
朝は顔を見ることができなくて、そのまま
家を出ちゃったけど……。
そういえば昨夜、ちょっとだけ咳をしていなかった……?



