お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





最京高校の選手も相手校の選手も、試合前の練習風景から気迫が伝わってきた。


雅はどこにいるんだろう。

キャッチャーだからある意味わかりやすいような気がするんだけど…。



「あ……!」



キャッチャーの人しか身につけないヘルメットやマスク、プロテクター。

私の声に気づいた本人は、私が座る観客席へと爽やかに走ってくる。



「ゆら!まじで来てくれたんだ!!」


「うん!完全装備だよ!頑張ってね雅…!」


「おう!こまめに水分補給だけはしろよ!」



キャッチャーマスクを上げて、太陽よりも眩しい笑顔。


ここで私は確信した。


もし雅が男の子だったとしたら、完全に惚れてしまっていたと。

私を甲子園に連れて行って……!!と、青春少女マンガのようにお願いしていたことだ。



「きゃーーっ!!丸井先輩が笑ってくれた…!!」


「やっぱりかっこいい~~っ!!」


「ちょっとあんたら!他校の先輩を応援してどーすんのっ!!」


「「あっ、すみません…!!」」



どうにもここは相手校の応援席だったみたいで。

でもわりと日射しを避けた良い席が取れたし、まあいいかな?