お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





まだ試合開始時刻まで1時間はあるのだけど、場所取りのために早く来たほうがいいと言われていて。

そのため私も余裕を持った早めの準備。


幸いなことに、試合会場は私が通う高校の近くにある球場。

電車も使わず徒歩圏内でたどり着けることがラッキーだった。



「30分前くらいには着いてればいいかな?いや、暑いから20分前でいっか」



お母さんはお料理教室のために区民センターへ向かって、おじさんは珍しく休日出勤。

私も出かけるから、今日はナナちゃんひとりのお留守番だ。


そんな本人さんはやっぱりこの時間はまだ熟睡中。

「行ってきまーす」と、一応は2階に声をかけてから靴を履いた。



「わ、けっこう観客もいるんだ…」



会場へ到着すると、すでに日陰の席を占領している保護者さんたち。

レギュラーになれなかった部員さんたちは帽子にタオル、熱中症対策をきちんとしてメガホン片手に応援の準備。



「わあ、みんな練習してる…」