お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「佳純(かすみ)~?どこー?いるのーー?」


「あっ、お友達が来たみたいです…!いろいろ聞いてくれてありがとうございましたっ」



パタパタと階段をかけ降りてゆく、“佳純”と呼ばれた女の子。


もし私が迷子になっていなかったら出会えなかった人で、名前すら知らなかった人で。

そう考えると、これもこれで情緒的な出会いだと噛み締める。



「───…見っけ」


「ナナちゃん…!!」



それからしばらくして、私のもとにもお迎えが来てくれた。



「はーー、すげえ探したんだけど」



こつんと、おでこを小突かれる。



「ご、ごめん…、あっ、花火は無事だよ…!」


「…ゆらは?」



「え、」と、私の返事を消してしまうかのように覗きこまれた。

サラッと微かに触れあった、私とナナちゃんの髪の毛。



「無事?」


「っ…、ぶ、無事…だよ」


「そ。…よかった」



よかった、って…。

たとえありふれた常套句(じょうとうく)だとしても嬉しさが余裕勝ちだ。