お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





思わずぎゅっと手を握ってしまっていた。


誰かと付き合ったことすら1度もない私が言えたことじゃないけど。


こんなにも後悔を抱えていて、それでもまだ元カレさんのことが好きで。

どこかで会えるんじゃないかって、彼女は毎日のように願って生きているんだろう。


そんなの、そんなの、健気すぎる……!



「め、迷惑じゃないですかね…?」


「そんなことない…!もしかすると、その元カレさんも待ってるかもしれないから!」


「じゃあ…近いうち、彼のお家を訪ねてみようかな…」


「うん…!応援してる…!いろいろ話し合って、また元の形に戻れるといいね」


「はいっ、ありがとうございます…!」



雅が甲斐田先輩と話しているときもそうだけど、誰かの恋を見守る立場って、どうしてこんなに自分までドキドキしてくるんだろう。

私もいつか味わってみたいなあって、最近になって思うようになった。


そんなことを考えると必ず浮かぶ存在が脳内に固定されつつあること。


私はとりあえず、ゆーっくりと穏やかに首を横に振っておく。