Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

「そう言えば知ってる？ここで出産した東の看護師の小泉（こいずみ）さんの赤ちゃん、ダウン症だったんだって」

「知ってます！出生前健診で陽性判定出たけど、「産む」って本人がすごく言ったらしいです」

「ダウン症か〜。これから子育て大変だよね。普通の赤ちゃんでも子育て大変なのに、ダウン症ってなったらもっとだよ。合併症起こしやすいし」

「陽性判定出たら産むのを諦める人の方が圧倒的に多いのに、小泉さんすごいですよね〜」

そんな会話を耳にしながら、桜士たちは病室から出た。



その後、救急科に戻るとすぐに急患が何人か運ばれてきた。処置を行い、急患が落ち着いたのはお昼の一時を過ぎた頃である。

「今日は救急車いっぱい来ましたね〜。お腹空いた〜」

職員専用の食堂にて、メニュー表を見ながら一花が言う。桜士のお腹もグルグルと音を立てていた。慌てて「しっかりしろ、潜入捜査官！」と心の中で呟く。何故か、一花といると気が緩んでしまうのだ。