あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

 月に一度の読み聞かせの会に、今月も街の大勢の子どもたちが集まってくれている。

 火傷の跡は白粉でごまかし、以前のように隠すようなことはしていない。

 街の人々、とりわけ子どもたちが怖がると心配をしたけれども、「痛い?」とか「大丈夫?」などと心配してくれることはあっても、とくに気にしていないようで安心をした。

 読み聞かせが終わったタイミングで、王太子殿下が訪れてきた。

 子どもたちを連れてきている母親たちは、王太子殿下と気がついて恐縮しながらも、その美しさに見惚れてもいる。

 子どもたちは、突如あらわれた美形をめずらしそうに見ている。