「殿下」
「王太子殿下」

 人垣が左右に分かれ、その間からあらわれたのは、王太子殿下である。

 いらっしゃっていたんだ。ということは、この茶番をきいていらっしゃったのね。

 演じているのはガブリエルだけど、恥ずかしさでいっぱいになってしまう。

 いまのこの一幕は、多くの貴族が目の当たりにしている。