あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

 運悪く強風にあおられ、たった紙一枚の小さな火がボヤにまでなってしまった。

 彼は、まだその手に燃え盛る紙を握ったままでいた。

 衣服に燃え移る。

 無我夢中だった。わたしは彼の手からその紙を払い落そうとして、そして……。

 わたし自身の髪の一部を燃やし、左半面に大きな火傷を負ってしまった。

 ボヤ騒ぎを起こしてしまった。
 彼は、両親から叱責を受けてしまう。

 だから、彼はわたしのせいにした。

 すべてはわたしがやったことだと。

 わたしは、反論しなかった。ソフィアにもだまっているようお願いをした。