あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

「このような容姿だと、将来、公爵の妻として公式の場にだすこともできません。ですので、今宵かぎりで婚約を破棄し、あらたな婚約をいたします。その相手は……」

 彼は、わたしの髪から手をはなすとソフィアに近づいていった。

「ソフィア・ティーカネン侯爵令嬢です。彼女とは幼馴染です。夫婦になるべくしてなる、といったところでしょうか。さぁソフィア、こちらへおいで」

 ガブリエルがソフィアに手を差し伸べた。

 が、彼女はその手をとることはなく、わたしに近づいてくるとわたしの肩を抱いた。