あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

 それに、恰好だってそう。両親が亡くなってからのわたしの事情をわかっているくせに。
 いつものみすぼらしい恰好で出席をするとでも思っていたのかしら?

 それだったら、出席するわけがない。

「まあいいさ」

 それから彼は、残酷な笑みを浮かべた。
 
「今宵をもちまして、わたしことガブリエル・ラムサ公爵子息は、アリサ・クースコスキ伯爵令嬢との婚約を破棄いたします」

 それから、高らかに宣言をした。

 人々の憐みの視線が痛いほどである。