あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

 彼女は、後退りするわたしの腕をつかむとぐいぐいひっぱりはじめた。
 ひきずられるようにし、大広間の中央部分に連れてゆかれてしまった。

 いやでも多くの人々に注目されてしまう。

 消えてしまいたい。

「おや、来ていたんだ。へー、ちょっとは見られるようにして来たんだな」

 わたしの姿を見て、ガブリエルはちょっと意外そうな表情になった。

 あなたが来いと言ったのよ。
 もっとも、それだけでは来なかっただろうけど。

 ソフィアに無理矢理連れてこられたようなものなのだから。