あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

「陛下。わがティーカネン侯爵家にもかかわることでございます。どうかラムサ公爵家子息の願いをおきき届けください」

 ソフィアのお父様、つまりティーカネン侯爵の声である。
 
 ティーカネン家は名門中の名門。そのティーカネン家の申し出なら、国王陛下もむげにはできない。

 すぐに許可が出てしまった。

「いたっ!アリサ、やっと見つけたわよ」

 よりにもよってソフィアが駆けよってきた。

「こんなところに隠れていたのね。お父様に頼んで最高の舞台を準備したわよ。さあ、来なさい。あなたも主役の一人なんだから」