あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

 子どものころにはティーカネン侯爵家の屋敷に遊びにいったものだけど、顔に火傷の跡ができてからは一度も訪れたことがなかった。

 ティーカネン侯爵家のメイドたちは、総出でわたしを舞踏会に出席できるだけの容姿にしてくれた。

 火傷の跡も、拒否するわたしにお構いなしに白粉を塗りたくってくれた。

 なにより、薄いピンク色のドレスが素敵である。派手すぎず、どちらかといえば清楚な感じがする。

 メイド長は「ソフィア様のおさがり」と言っていたけれど、彼女は薄いピンク色は好みじゃないし、派手ではないデザインはもっと好みじゃない。