あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので

「さあ、ここに座って」

 そう勧められれば従わないわけにはいかない。

 しかも、真向いだなんて。

 醜いものを見せてしまうことになる。

 さりげなく髪で火傷の跡を隠し、顔はよりいっそううつむき加減にした。

 王太子殿下は、最初こそ準備した資料に目を通していたが、気がついたら本のことで会話をかわしていた。