「鴇田お前さ、資料全部見たんだろ?実際どう思った?鷲見さんが一番か?今までの商品より売れそうか?店の人が、その先のユーザーが、喜んでくれそうか?」
「………」
鴇田は黙ってしまった。
「見なくても想像つくよ、鷲見さんのカード。でかいバースデーケーキの絵にクマかなんかがパステルカラーでくっついてんだろ?もう一つはギフトボックスの絵で同じような感じか?それともバラの花束か?」
「…なんで…」
「他のデザイナーが必死でコンセプト考えて、デザインして、プレゼン資料作ってる間に、鷲見さんがやってんのは目白さんに媚びるだけなんだよ。デザインがアップデートされるわけないだろ?そんなもんずっと売り続けても、得するのなんて鷲見さんだけだろ。こんなこと続けてたらマジでピーコック潰れるぞ。」
周は苛立ちを隠さずに言った。
「で?」
「え…」
「鴇田はどれが良いと思った?あるだろ?自分の意見だって。」
「……正直言ったら、黄色い花の…福士さんのが一番だと思います…」
「だろ?」
「でもダメです。順番入れ替えて明石さんが進行役なんて不公平です。」
「いや、むしろ公平だろ。」
周は言った。
「は?」
「進行役って投票権ないよな?」
「え?ああ、はい。」
「俺、普通にしてたら福士さんに10点入れて、他全員0点にするよ。それに比べたら福士さん含めて得点ゼロのほうが平等で公平だろ?」
周は当たり前のように言った。
「も〜なんなんですか…マジで。」
「いいじゃん、バースデーカードのコンペの一回や二回、部長だって俺がいつも通り生意気だったくらいにしか思わねーって。鷲見さんだってほっといてもそこそこ点入るだろ。」
鴇田は渋々進行役の交代に同意した。