「じゃあね〜!香魚ちゃん、明石くん、またねー!」
「じゃあまたな。」
「うん、おつかれ。めぐさんはつむぎちゃんにもよろしく。」
「おつかれさまです。とっても楽しかったです。また。」
顔合わせでひとしきり冷やかされ、香魚子と(あまね)は帰路についた。駅に向かう柏木たちが見えなくなると二人は手をつないだ。香魚子は土日を周の家で過ごすことが増えていて、この日も周の家に向かった。
「めぐさん、すっごく明るくて楽しかったです!周さんも柏木さんもみんな明るいから、楽しい会社になりそうですね。」
「めぐさんはちょっと明るさのレベルが違うけどな。ちなみに前に表参道で一緒にいたのがめぐさん。」
「あ、半分仕事って…」
「そういうこと。」
香魚子は歩きながら周の顔を見上げた。
「顔に何かついてる?」
視線に気づいた周が言った。
「いえ、あの…カード…」
「カード?」
「ミモザのバースデーカード、ほかに何か言いたいことがあったんじゃないですか?」
香魚子の指摘に、周は少し逡巡した。
「………うーん…」
「…本当はイマイチでしたか?」
香魚子が恐る恐る聞くと、周は首を振った。
「めちゃくちゃ良い。今までで一番てのも本当に本当。」
「じゃあ…?」
「…呆れないって約束してくれるなら言う。」