僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

だいじょうぶ、とどんなに自分に言い聞かせても、実際私は大丈夫ではなかった。

五十分の昼休みは死ぬほど長くて、重く沈んだ心ごと、全身がドロドロに溶けてしまいそうだった。

「その、お弁当が――」

そう言葉にして、私はすぐに口を閉ざした。

男子の天宮くんには、ひと言では言えないような女子のめんどくさいいざこざは理解できないだろう。

それにお弁当を食べる人がいないなんて、さすがにみじめだ。

いくら天宮くん相手でも、言うのを躊躇してしまった。

こんな私にも、なけなしのプライドが残っていたらしい。

幸いにもすぐにバスがきて、私は逃げるように天宮くんに別れを告げ、バスに乗り込むことができた。