僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

ひとりでお弁当を食べるようになって三日が過ぎたときのこと。

「最近、何かあった?」

写真部が終わったあと、バス停でバスを待っていると、自転車に乗って近づいてきた天宮くんにそう声をかけられた。

ちょっとだけ息が切れてる。

急いで追いかけてきたようだ。

「何かあったって……どうして?」

すると天宮くんが、しごく真面目な顔つきで言った。

「いつもとは違ったから」

「え?」

「カメラ越しに見る夏生さんの様子が、いつもとは違った」

また心の中を見透かされ、ドキリとした。

天宮くんのカメラのレンズには、人の心を見抜く魔法でもあるのだろうか?

「うん、その……」

ほかの誰かなら、笑顔を作って『大丈夫だから心配しないで』と答えているところだ。

だけど私には、天宮くんにはそういった偽りが通用しないことが分かっていた。

天宮くんは、正真正銘のカメラマンだから。

「クラスであんまりうまくいってなくて……」

「友達と?」

「……うん」