僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

耳鳴りのように、あの日の声が耳によみがえる。

中一の頃のことだからもう何年も経っているのに、あのとき耳にした冷たい声は、私の頭のど真ん中にいつまでもとどまっていた。

年月が経っても決して色褪せず、それどころかこうやってささいなことがきっかけで、あの日の絶望とともに繰り返し灰色の世界のどん底に突き落とす。

――学校なんてクラスメイトごとつぶれてしまえばいい。

髙安くんと会ったのはほんの一瞬なのに、彼の抱えている思いが手に取るように分かった。

高安くんは、今もきっと泣いている。

いじめを自覚していない人たちが笑いながら学校生活を過ごしている日々の中、ひとり沼の底から這い上がれず、声も出さずに泣いている。

「――やめて」

気づけば私は、いつものように星羅の話に合わせることなく、反論していた。

「は?」

星羅が驚いたように私を見る。

「高安くんのこと、それ以上悪く言わないでほしい」