僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

六月の終わり、しとしとと雨る雨が、朝から続いている日のことだった。

授業の中休み、私は星羅の話を、気持ち半分で聞いていた。

星羅は最近、大学生の彼氏ができたらしい。

カレシが、カレシが、と星羅が連呼するたびに、あたりからチラチラと視線を感じる。

もちろん、好意的な視線ではない。

彼氏自慢と思われているんだろう、そして実際星羅にもそういう気持ちはあるんだと思う。

私はときどきうなずいたり、曖昧に返事をしたりしているだけだった。

だけどふと話の流れが変わる。

「ねえ。そういえば、彩葉も彼氏できた?」

「え?」

急な質問に驚いて、椅子から転げ落ちそうになった。

「放課後、ときどき昇降口じゃなくて旧校舎の方に向かってるでしょ。彼氏と会ってるの?」

半分ニヤニヤしている星羅は、きっと陰キャで友達のいない私に彼氏がいないことなんて百も承知だろう。

放課後どこに行ってるの?と普通に聞けばいいのに。

私は慌ててかぶりを振った。

「ううん、そうじゃなくて、写真部の部室に行ってるの」

「え? 彩葉って、写真部だったっけ?」

「正式な部員じゃないけど、手伝いというか……」

私と写真部の関係を、どういうふうに表現したらいいのか分からない。

写真のモデルをしてるなんて言葉にするのは、身のほど知らずで気が引けた。

すると星羅が、ぐぐっと眉根を寄せる。

「え、写真部ってヤバくない? 廃部寸前って聞いたよ」

「まあ、そう見えるよね」