僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

カラカラと、天宮くんの漕ぐ自転車がチェーンの音を響かせる。

茜色の空模様に群青色が混ざり始めた。

昼と夜が交差する、じぐざぐの不思議な時間の始まりだ。

湿った草のような夏の香りに、遠く聞こえる電車の通過する音。

天宮くんのかすかな息遣い。

灰色の私の心の世界が、今日はやたらとチカチカしている。

天宮くんは、高安くんの家に着くまで一度も私を振り返らなかった。

ふたり乗りにしては早すぎるんじゃ?と心配になるくらいのスピードで、ひたすら自転車を走らせていた。