僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「え、いいの?」

「いいから乗って」

男の子とふたり乗り?とドギマギしてしまう私。

天宮くんは、目の前にいるのにあさっての方向を見ている。

気恥ずかしさが怒涛のように込み上げてくる。

断ったらそれはそれで居心地が悪くなる気がした。

何よりも天宮くんから、目を合わさないくせに、『乗れよ』という強い意志を感じる。

挙動不審なのに、彼はときどき妙に強引になる。

「うん、じゃあ……。シツレイします」

私は覚悟を決めて、天宮くんの自転車の荷台にまたがった。

天宮くんの白いシャツの背中が、ぐんと間近に迫る。

自分以外の誰かの体温をこんなにも近くにも感じるのは、生まれて初めてだ。

天宮くんは近くで見ると、細身だけど思ったよりがっしりしていた。

肩の広さも、うつむき加減の首の骨格も、私とは違う種別の生き物なのだということを感じさせる。

恥ずかしさを頭の中から打ち消そうと、私はうつむいた。