僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「そんなすごいことじゃないよ。佐方先輩に聞いたら、もっとすごいこと教えてくれると思う」

そう言いつつも、天宮くんはほんの少し照れているようだ。

その証拠に、目元が少し赤い。

「夕方の空ってきれいだよね。いろんな色が混ざってて、一日のうちで一番好き」

「……うん」

あ、また。

曖昧に答え、寂しげに目を揺らめかす天宮くん。

前にも、彼のこんな反応を見たような気がする。

【きれいな写真が撮れたから贈ります。夏生】

プリントアウトした写真の裏に、メッセージを書いた。

仕上がった写真を高安くんの家に届けるために、天宮くんに別れを告げて、早急に部室をあとにする。

「夏生さん」
 
裏門を出てしばらく行ったところで、背後から呼び止められた。

自転車に乗った天宮くんがいる。さっき部室で別れたばかりなのに。

「どうしたの?」

「後ろ乗って。髙安の家まで早く行かないと、帰るの遅くなるだろ?」