僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

学校になんて戻れるわけがなくて、家の中も居心地が悪くて、自分の存在がみじめで消えたくてしかたなかったあの頃。

〝くろすけ〟との些細な毎日のやり取りが、私の生命線をつないでくれた。

〝くろすけ〟はよく、部屋の窓から見える夜空の写真を送ってきた。

自分の部屋の窓から見える空にも、同じ形の月が浮かんでいる。

同じ境遇の誰かと、同じ景色を見て、たわいのない会話をする。

たったそれだけのことが、一筋の明かりを見つけたかのように、私をホッとさせた。

どんなに希薄な関係でも、誰かとのつながりはこんなにも人を救えるのだと教わった。

そうなんだ。人はひとりじゃ生きていけない。

ひとりになったら、駄目になってしまうように作られている。

私は不登校時代に、そのことをつくづく思い知った。

だから今度は私が、ほの暗い目をした高安くんの、小さな支えになりたい。