僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「すごくなんかない。回り回ってそれは、結局は自分のためだったんだと思う。高安くんのことを、たぶん本気で心配してなんかいなかった。私、最低な人間かもしれない。ううん、最低な人間なの。いつも人を傷つけて迷惑ばかりかけて――」

こんなふうに、喉元につかえた思いを誰かに吐き出したのは、かなり久しぶりだった。

私は今、偽善ぶることも、問題のない高校を演じることも、完全に忘れてしまっていた。

「どんな行動の裏でも、自分の利益を考えてるのは当たり前だと思う。完璧な、神様みたいな人間なんていないんだから。相手を思いやる気持ちが少しでもあればそれは優しさだ。だから夏生さんは、優しい人だ」

天宮くんのまっすぐな言葉が、ぐちゃぐちゃの心に刺さる。

放心状態のまま、天宮くんを見つめた。

――完璧な人間なんていないから、当たり前。

梅雨の空のようにぐずついていた心に、光が射したようだった。