僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

茜色に染まる広い空が、ぐんと遠ざかっていくような感覚がした。

もうすぐ夏を迎える輝かしいこの世界で、私の心だけが重く沈んでいる。

高安くんの言うとおりだ。高安くんに手を差し伸べるフリをして、私は自分自身の価値観を高めたかっただけなのかもしれない。

親切心の裏には自分を救いたいっていう気持ちが隠れていたのだろう。

しょせん私は役立たずのはみ出し者だから、その程度の考え方しかできないのだ。

私の浅ましさを、高安くんは一瞬で見抜いた。

恥ずかしい、情けない、泣いてしまいたい。

空っぽの気持ちのまま、玄関前から離れる。

とぼとぼと引き返していると、ガシッと手を握られた。

冷えた手のひらが突然あたたかな感触に包まれて、私は弾かれたように顔を上げた。

目の前に、いつになく深刻な目をした天宮くんがいる。

「何かあった?」

「あ、ええと……」

天宮くんがいたこと、すっかり忘れていた。