僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

とっさに声を張り上げると、高安くんが、ドアを持った手を止める。

「私もずっと学校に行ってなかったんです、中学の頃……。二年以上も」

高安くんの目がわずかに開かれる。

声が震えた。

不登校だったことを同じ高校の人に伝えたのは、初めてだったから。

――カシャッ!

耳の奥で、私の姿を映す天宮くんのカメラのシャッター音がする。

その一瞬だけ私の灰色の世界に光が落ちてきて、まるでひっくり返ったみたいに、世界が金色に染まるのだ。

撮られている。

見られている。

存在を求められている。

何者でもない自分が、何かになれたような気にさせてくれる音。

手を差し伸べなきゃ、と思った。

そうじゃないと、目の前にいるこのほの暗い目をした男の子は、もっと深みに沈んでいく。

自分が苦しんでいるとき、気持ちに寄り添ってくれる存在がどれほど大事かを、私は身を持って知っている。